1.プロローグ
計装工事の一生
A: こんにちわ。 B:
やあいらっしゃい。先日は大分御馳走になっ
た。どうもありがとう。A:
いやこちらこそ、いろいろ教えてもらって、御礼
申し上げます。
ところで今日は、先日のつづきで、計装工事に
ついて、もう少し詳しく教えて貰おうと思って
やってきた。B: まあ、どうぞ掛けたまえ。 A: ありがとう。 B:
工事というと、活気にあふれた工事現場を想
像するだろう。そして、頭を使うよりも、体を動
かす仕事を思い浮かべると思う。
計装工事も工事の一種には違いないから。
そのような一面もたしかにある。しかし、それ
だけではない。計装の計画から始まって、
計装システムの設計、計器の選定、計装工
事の設計などを経て、はじめて現場の工事
となる。A:
別に計装工事でなくても、他の工事でも、それ
は同じことだろう。B:
そのとおりだ。しかし計装工事は、他の工事以
上に、計画や設計の段階と関連が強いという
ことだ。さらに、工事が終わるとテストを行う
が、このテストでは、計器調整という、他には
あまりない作業がある。いずれにしても、現場
工事だけでなく、始めから終わりまで話す必要
がありそうだ。
計装は召使い?
A:
また、例によって、計装工事は”システム”だと
いいたいのだろう。B: ハハハ、先を越されたな。 A:
どうもシステムとか計装とかいうと、なんとなく
しりごみしたくなるような感じがする。
判り易い説明を頼むよ。B:
計装には、必ずその対象がある。
電気こたつに対する計装、自動車に対する
計装、工場に対する計装・・・・・・。
一口に計装といっても、計装の対象が異なる
と、その中味はずい分ちがってくる。A:
中味がちがっていても、計装という言葉で
ひっくるめるからには、当然共通点がある
はずだ。B:
計装は、計装の対象を、うまく動かすため
の手段だという点で共通している。A:
電気こたつがうまく動くということは、常に快
適な温度を保つということだな。そして計装が
これを実現してくれる手段ということだね。B:
そうだ。電気こたつは、それ自体に暖房とい
う目的がある。ところが計装には、そのような
直接的な目的は存在しない。
あくまでも電気こたつの目的をうまく達成す
るための手段にすぎない。A:
ということは計装は主人ではなくて召使いと
いうことになるのかな。
計装は御者?
B:
良いたとえだ。ただし、計装の対象である機
械や装置が主人と考えると、少し意味がおか
しくなる。
その意味では馬車があって、馬車に乗ってい
るのが主人で、計装を馬車の御者にたとえる
方がよいかも知れない。
主人が行先を指示する。そうすると御者は馬
を走らせて目的地へ着く。
ここで重要なのは、主人は、一々ここを右に
曲れ、あそこを左に曲れと指示はしないという
ことだ。”A氏邸へ行け”と指示すればよい。
ただし、これは良く訓練された御者の場合
だ。
御者が悪いと一々曲り角毎に指示しないと
目的地に着けない。A:
計装でも程度の良い計装と程度の悪い計装
とでは、同じようなことになるね。B:
それが自動化、オートメーション化のレベル
の差だ。