5.計器盤の話

計器盤と運転操作

A:

  
どうも話が大分それたようだ。ただし、大いに
勉強になった。話をもとにもどして、今度は計
器盤のことを聞きたい。
B:






  
計装化、自動化のすすんだ装置では、外見的
には、計装は計器盤に集約される。
そして、計器盤は、装置を運転する人が、装置
と相対する所でもある。
自動化がすすんでいない装置の場合は、運転
員は、直接装置の現場を廻る。そして、装置
の状態を把握したり、運転操作を加えたりす
る。
これに対して、自動化のすすんだ装置では、装置の状況把握も、運転操作
も、すべて計器盤を介して行われる。
すなわち計器盤は人間と機械とが情報交換する場だ。シャレた言い方をす
ると、”マン・マシン・インターフェース”という。

計器盤と計装

A:
  
装置の運転のやり易さは、計器盤の設計に
よる所が大きいのだろう。
B:






  
そうだ。装置の性能は基本的には装置自体
の特性で決まってしまう。しかし、その装置自
体のもっている性能をうまく引き出せるかどう
かは、計装に大きく依存している。計装方式が
悪ければ、装置自体の性能は潜在能力であっ
て実際には引き出せない。
逆に、計装がどんなによくても、装置自体の性
能より良い結果は引き出せるはずがない。
A:

  
計装方式選定の結果得られた計装の能力
を、うまく引き出せるかどうかかが、計器盤と
いうことだね。

人間工学と心理学

B:










  
計器盤は、人間とのインターフェイスだから、
人間がからんでくる。技術的に見ても、人間
工学や心理学が必要だ。
計器盤は、装置の状態を人間に伝える役割を
もつ。このとき、いかにうまく伝えられるかとい
うことが問題になる。必要な情報を必要なとき
伝えられなくてはならない。
このために、人間の視野とか、どのような角度
が見やすいかということ、すなわち人間工学が
必要だ。
また、どのようにすれば、人間にうまく訴えるこ
とができるかという心理学も重要だ。
A:


  
しかし、何を見やすくし、何は多少見にくくして
もよいか、何を訴える必要があるかということ
は、装置自体のことをよく知っていなければな
らないのだろう。
B:





  
そのとおりだ。ここでも計装の対象をよく知る
ことが重要だ。
また、計器盤は、人間が装置を操作する場で
もある。したがって、手の動きの範囲(操作の
容易な配置)など、人間工学が重要だ。
当然この場合も装置自体のことを知っている
ことが必要だ。

計器盤とコンピュータ

B:








  
装置が大形化し、かつ計装化がすすむと、一
つの装置に設けられるセンサーの数はぼう大
だ。しかも、それらは、計器盤へと集中化され
る。
この集中化し、装置全体の運転状況が一目で
判るということが、自動制御と並ぶ計装の大き
な効果だ。ところが、集中化される数があまり
にも多すぎると、人間の能力を超えてしまっ
て、全体をうまく把握することができなくなって
しまう。
そこでなんとか別の工夫をして、運転しやすくすることが必要となってくる。
そしてコンピュータがこの目的のために利用される。
A:  コンピュータが、どうしてそんな目的に利用できるのかね。
B:









  
個々の計測情報を並べる代りに、コンピュータ
でデータ処理し、集約化して少なくなった情報
を人間に伝えよということだ。人間は一度に示
される情報量が多すぎると、適切な判断がで
きなくなってしまう。
といって、必要な情報が欠けても間違った判
断をしてしまう。そこでコンピュータを使って、
集まった情報をデータ処理し、人間が判断し
やすいように、情報を集約して、人間に提供し
ようということだ。コンピュータは自動制御にも
重要だが、このような用途での効果が大きい。
なおコンピュータで処理された結果はCRTディスプレイ(テレビ)に表示され
ることが多い。

計器盤と計装工事

A: 計器盤は誰が作るのかね。
B:





  
計器盤は、一般には計装工事の範囲だ。
計器盤を設計し、製作し、据付ける。
みな計装工事の仕事だ。
計器盤はまた、計装用の配線配管が一ヶ所
に集まってくる所でもある。
したがって計装配線配管工事の中心でも
ある。

6.計器調整の話

計装工事のテスト

A:



  
計装工事および、これに密接に関係する計
画、設計については、おかげで大体つかむ
ことができた。
最初の話にあった、計器調整について話し
てほしい。
B:









  
計装工事に限らず、すべて工事をすれば、
工事がちゃんとできたかどうか、テストして
みることが必要だ。
ところが計装工事の場合、一般的なテスト
に比べて、非常に広い範囲の仕事をやらな
ければならない。
この仕事を計器調整と呼んでいる。その第一
段階は、計装の配線配管工事が、きちんとで
きたかどうかのテストだ。配線が間違いなくつ
ながっているか、配管にもれがないかどうか
をテストする。
A:
  
一般の電気工事や配管工事におけるテスト
と同じことだね。
B:









  
そうだ。その次は、計器や制御機器が確実に
誤差なく動作するかどうかのテストだ。電気工
事で、モーターが廻るかどうか、配管工事で、
ポンプが動作するかどうかを試すのと同じだ。
ただ、計器は、単に動くかどうかだけでなく、
動いても誤差が所定の値より大きければだめ
だ。したがってテストの内容はシビアである。
また所定の精度に収まらなかったとき、それが
計器自体に起因するのか、それとも計装配線
配管が原因なのか、突き止めなければならな
い。
A:


  
それはかなり大変な仕事だね。
工事のことにも、計器自体のことにもよく通じ
ていないと、原因の切りわけは難しいだろう
ね。
B:


  
そしてさらに、実際に装置を運転し、計装が
うまくできているかどうかのチェックを行う。
この場合も、装置自体が悪いのか、計装が
悪いのかの判断が必要だ。

計装のメンテナンス

B:









  
この技術は計装工事だけでなく、計装のメンテ
ナンスにも通じる。計器は微妙だから、使って
いるうちに次第に狂ってくる。
したがって、定期的なメンテナンスが必要だ。
このメンテナンスの作業は、計装工事におけ
る計器調整と、ほぼ同じ仕事となる。だから、
同じ人が担当する場合が多い。
そして、このメンテナンスの仕事も、単に工事
だけでなく、計器それ自体や、計装の対象と
なる装置そのものにつて、良く知っていること
が大切だ。

7.まとめ

A:



  
どうも長い時間ありがとう。どうやら計装工事について、大体のことをつか
むことができたようだ。
計装工事が単に工事ということでなく、計装そのもの、計器そのもの、さら
には、計装の対象である装置そのものについても、よく知っていなければ
ならない。重要な仕事だということがよく判った。
B:

  
そして、センサーや制御機器の選定、電気配線工事、配管工事、計器盤
の設計、製作、据付、計器の据付さらには、計器調整と多種多様な内容を
含んでいる。
A:
  
そしてさらに重要なことは、これらをシステムとしてまとめていくということだ
ね。
B: そうだ、単なる各種工事の寄り集めではないということだ。
A: どうもありがとう。
B: ではさようなら