3.伝送の話

伝送とは

B:





  
さて、センサーは、単にセンサーがあっただけ
では何の役にもたたない。
センンサーで得られた計測情報を人間や、
自動制御装置に伝えなければならない。
これには二つの方法がある。一つはセンサー
の所で直接メーターの針をふらせることだ。
これを人間が読みとる。
A:
  
家庭で日常使っているものは、ほとんどそう
だ。
B:












  
しかし、多数の情報を一目で見たいときは、
これでは困る。身近な例では、自動車の計器
盤だ。何かあったら、その都度車を停めてボン
ネットを開いてみなければならないのでは、
たまったものではない。
したがって運転席の所に一ヶ所に集めて、必
要なとき運転しながら、一目で見ることができ
るようにしている。
このためには、センサーの情報を計器盤まで
引っ張ってくる必要がある。
このようにはなれた所に情報を伝えることを
伝送と呼んでいる。
伝送とは文字どおり情報をはなれた所へ伝
え送ることだ。
A:
  
表示だけでなく、自動制御−オートメーション
のためにも必要なのだろう。
B:


  
そうだ。自動制御の場合、センサー情報を制
御装置に伝えるためと、制御装置の出力を制
御対象に伝えるためと、両方の伝送が必要に
なる。

伝送の手段

A:
  
伝送の手段としては、電気が使われるだろ
う。
B:






  
情報をはなれた所に伝えるには、たしかに電
気が便利だ。したがって電気が最も多く使わ
れている。しかし、電気以外にも、圧力がしば
しば使われる。最近では光も使われだした。
電波も利用されることがある。
工業的には、電気信号の中でも、4〜20mA
という範囲の直流・電流信号が用いられること
が最も多い。
A: どうして、そうなるのかね。
B:








  
まず第一に、手段は何であろうと、とにかく統
一された信号が良いということだ。
センサーは千差万別だが、これは、センサー
の性質上やむを得ずいろいろになっているの
だ。もし同じものが使えるなら、その方が良い
に決まっている。
伝送信号が統一されていれば、その配線仕様
も統一される。また、伝送信号を受ける計器や
制御機器も同じ信号を受ければ良いから統一
される。
A:
  
統一のメリットは判るが、なぜ4〜20mAにな
るのかな。
B:


  
電圧の場合には、途中の配線による電圧降下
がある。これに対して電流なら、途中の配線抵
抗がキャンセルされて誤差にならない。
だから、電圧より電流の方が優れている。

防爆ということ

B:



  
今一つは、防爆ということだ。石油工場や
化学工場などは爆発性の物質を取扱う。
もし、それらが爆発したら大変な事故に
なってしまう。したがって安全のための対策
は十分すぎるほどとらなければならない。
A:   それは当然のことだね。
B:
  
その対策の一つとして、電気機器の防爆と
いうことがある。


  
電気は、なにかのとき火花がでる。そのとき、火花の所に爆発性のガスが
あったら大変だ。
だから電気機器の場合、電気的火花が原因となって爆発を引き起こさない
ような対策をたてている。これを防爆という。
A:   どんなやり方で爆発を防ぐのかね。
B:














  
大きく分けて、二通りある。
一つは、火花が出ても、それが爆発に至ら
ないように離隔することだ。
もうひとつは、火花が出ても爆発を引き起こ
すだけの火花でなければ、本質的に爆発は
起こらない。これを本質安全防爆と呼んで
いる。
強電の機器では、本質安全防爆にすること
は、できるはずがない。しかし計装機器は、
もともと情報を伝えることが仕事だ。原理的
には情報を伝えるためには、エネルギーは
不要なはずだ。実際には、ノイズに打ち
勝って情報を伝えるには、ある程度のエネ
ルギーが必要だ。しかし、それはかなり小
さくてすむ。
したがって本質安全防爆が可能だ。
A:
  
本質安全防爆を実現するには、4〜20mA
という信号が丁度適当だということだね。
B:









  
そうだ。防爆ということでは、電気を使わな
ければ、これが本当の本質安全防爆だ。
この意味で空気圧や光を伝送の手段として
使うのは優れた方式だ。
電気は、このほか強電の機器などから発生
する電気的ノイズが加わって誤差の原因と
なる。空気や光の場合は、このようなノイズ
原因がないので、信号は正しく伝わる。
ただし、伝送信号を受ける計器や制御機器
は電気的なものが多い。この点では、伝送
信号に電気を使うと便利だ。

伝送と計装工事

A:
  
計装工事という立場から見ると伝送はどう
いうことになるのかな。
B:






  
大規模な装置では、広い場所に散在する多
数のセンサーからの情報を一ヶ所に集め、
また広い場所に散在する多数の操作部へ、
制御情報を伝えなければならない。
だから、計装工事にとっては、伝送のための
配線や配管は、量的には非常に大きな比重
を占めることになる。量的に多いという点では
伝送の工事は計装工事の主体だ。
A:

  
しかし、統一された信号を扱うのだから、仕様
的には、同じですむはずだ。だから難しさはあ
まりないのだろう。
B:






  
統一信号を使うことは必要だし、できるだけそ
のようにするのは当然だ。
しかし、100%統一信号に統一することは難
しい。なにしろ、センサーは千差万別だ。
その千差万別のセンサーが、すべて統一信
号で伝送できるようにはなっていない。
だから、どうしても統一信号以外の信号を使う
という例外が生じる。